洋ラン“シンビジューム”は園芸の中でも最も人気がある植物です。
華麗な花で種類が多く、みなさん一度は育てられた経験があるのではないでしょうか?
こちらでは、シンビジュームを楽しむときに必ず出会う失敗や疑問の数々にQ&Aのスタイルで解説したいと思います。
ご参考になれば幸いです。
■花種:シンビジューム(ラン科シンビジューム属)
東南アジアの熱帯、亜熱帯地方を中心に約70種類が知られています。
洋ランのなかでも一番よく育てられている種類で、ギフトや切り花として人気があります。
比較的育てやすく、大~小輪の花が1本花茎に5~20輪ほどつき、1ヶ月近く咲き続けます。
花色は黄、白、赤、ピンク、などさまざまです。東洋ランとして知られているシュンラン、カンラン、スルガランなどは、中国や日本に自生するシンビジュームの仲間です。
Q、花芽ができず花が咲かない?(生育期間中に十分な日光を当てなかった場合)
A.原因
一般的に洋ラン類は、他の草花などと比較して生育も遅いと考えられています。
栽培にあたっては直射日光は避け、水は控えめ、肥料は液体肥料を少なめにしましょう。
しかしシンビジュームは熱帯から温帯の低地に地生しており、毎年旺盛な生育をします。
他のランと同じような感覚で栽培していると生育が悪い、花が咲かないといった問題が起きてきます。
シンビジュームは春になると、前年に生育した古いバルブから、新芽が1~数本発生します。
この新芽が夏から初秋までに一人前に生育します。
1つのバルブに必要な葉枚数が生育すると、基部が急速にふくらみ始め、秋の深まりとともにバルブとして完成します。
バルブがふくらみ始めると、基部の片側か両側にふくらみが見え、太く長く伸びてきます。
これが花芽です。一方、先端が鋭く尖り、堅いようであれば花芽ではなく、翌年伸びる新芽の場合もあります。
シンビジュームで花が咲かない原因のほとんどは生育期間中の日光不足、水不足、肥料不足のいずれかです。
☆対策
生育期間中は日光に十分当てることです。日光不足は生育を遅らせます。
少なくとも 、1日に2~3時間は日光の当たる場所においてください。
春、降霜がない場合、戸外の通風のよい場所へ出します。
6月初め頃までは直射日光に十分当てましょう。
6月上旬~9月下旬(暖かい地域では10月下旬)まで遮光下に置きましょう。
9月下旬(地域によっては10月中旬)以降、降霜期まではもう一度直射日光下で育てます。
室内に取り入れたときに春から生育したバルブの基部に花芽があります。花色が白、黄色系のものは直射日光を避けやや高温下(最低室温12~15℃くらい)にて管理すれば、花色に茶色が含まれず美しく咲かせられます。
逆にピンク、赤系は日光を多く当て室温は低温下7~12℃くらいにて花芽をゆっくり促進させると発色が美しく濃くなります。
Q、花芽ができず花が咲かない?(適切な水やりが行われなかった場合)
A.原因
シンビジュームは春から秋までの生育期間水を大変好む植物ですが水のやり過ぎは禁物です。
水やりの量や回数は1株ごとに違います。株の大きさと鉢のバランスの問題があります。
株が小さいわりには鉢が大きい場合なら1日1回で十分でしょうが、株のわりに小さい鉢は同じ水やりをすると水不足になります。根詰まりを起こしてる株でも同じ結果になります。
バルブに縦じわが出来、全体に元気がなく、萎えているような場合は完全にみず不足です。
☆対策
目安としては、春、室内に置いた株は2~3日に1回サクラが散ったころに戸外に移してからは1日1回です。
7月~9月中旬迄は朝たっぷり行い、夕方に葉水程度にもう1回行います。
秋の深まりとともに水やりの回数を減らします。つぼみの成長期、開花期は水分を多く必要とします。
いずれも、水やりを行うときは、鉢土全体に十分に水が水分が行きわたり、鉢底から水が流れるくらいたっぷりと行います。
Q、花芽ができず花が咲かない?
(生育期間中に肥料が不足した場合)
A.原因
シンビジュームは数ある洋ラン類のなかで、最も肥料を好む種類の一つです。
シンビジュームの場合花の咲かない原因の一つに肥料不足があります。
前年の葉やバブルと比べて、今年成長し終えた葉やバブルが一回り小さい場合などは、
肥料不足が考えられます。
すると、株に花芽を作る力がなく花が咲かなくなります。
☆対策
肥料を施す目安として、関東地方以西では、4月中~下旬、5月下旬~6月上旬、7月上~中旬、9月中~下旬の計4回です。
暖地または開花が早く終わった株はこれより10日前後早くし、寒冷地では、これより10日前後遅くします。 特に秋口の4回目の肥料は重要です。
シンビジュームは、骨粉、油かすの等量を混ぜたものでよいでしょう。
Q、つぼみが落ちて、花が咲かない?(極端な低温や高温による場合)
A.原因
つぼみの生育適温以外の低温や高温にあわせたのが原因と考えられます。
☆対策
冬の間は最低温度が10℃以上を保てる場所で育てます。夜間は特に冷え込みますので、少しでも暖かく保てる工夫をしましょう。
石油ストーブなど直火型暖房の室内に置くと、つぼみは落ちやすくなります。
また暖房器の前などに置いて30℃以上の高温になる場合も、つぼみが落ちてしまいますので、注意が必要です。
Q、つぼみが落ちて、花が咲かない?
(日光、水、肥料不足による場合)
A、原因
日光、水、肥料の3つの要素が欠けてもつぼみが落ちます。
つぼみの生育する期間は15~25℃くらいの室温が適しています。
☆対策
水不足を防ぐには、2日には1回を目安にたっぷり水やりします。
日光不足、また、肥料不足の場合は前述を参照してください
Q、葉が枯れる?
A、原因
葉が枯れる原因は、いくつか考えられます。新芽が伸びて3年経過すると、葉は自然現象として枯れて落ちます。
この場合バルブの外側から順次枯れ始めます。夏から秋口にかけて多く発生します。
また、葉焼けが原因の場合は葉の一部特に重なった葉では上になった葉の方が白っぽく枯れます。
☆対策
枯れた葉はきれいに切り取っておきます。葉焼けの場合は6月上旬~9月下旬の間、30%程度の遮光下で、育てて日焼けを防ぎます。